
M&A成功率はわずか20%?19%の企業しか実践しない「PMI」で未来を掴む方法
皆さん、こんにちは!M&Aのシナジー効果を最大化させるPMIの専門家、中小企業診断士のはださとる(PMI戦略コンサルタント)です。
羽田中小企業診断士事務所では、PMI支援を通じて「M&Aの成功」を実現するため、情報発信をしています。
今回の記事でわかること
・M&Aの成功率が低い理由と、その背景にあるPMI(Post Merger Integration)の重要
・PMIがうまくいかない主な原因と中小企業が直面する「ノウハウ不足」の課題
・PMIを成功に導くための具体的なポイントと、中小企業でも実践できる改善策
「企業の成長戦略」として、あるいは「後継者不足」の解決策として、M&A(企業の合併・買収)の件数は驚くべき勢いで増加しています。 しかし、その華やかなイメージの裏側で、多くのM&Aが期待された成果を出せずに終わっているという厳しい現実をご存知でしょうか?

M&A実施後の総合的な満足度(中小企業庁 中小PMIガイドライン12ページより引用
中小企業庁が実施したM&A実施後の満足度調査では、「期待を下回っている」と回答した企業が24%に上り、「4件に1件のM&Aが失敗」していることを示しています。
では、なぜ多くのM&Aが成功に至らないのでしょうか。 その答えは、M&A成立後の統合プロセスであるPMI(Post-Merger Integration)にあります。そして驚くべきことに、M&Aを実施した企業の中で、このPMIを意識的に実施した企業は、わずか19%しか存在しないのです 。

PMIを実施している企業は、そんなに少ないのですか…!



そうなんです。M&Aは契約が成立して終わりではありません。
他の81%の企業が足を踏み入れていない「PMI」という領域に、M&Aを成功させる最大のチャンスが眠っています。
本コラムでは、M&Aの「その後」を左右するPMIの重要性と、それをいかにして自社の強力な武器に変えるか、その道筋を明らかにしていきます。
なぜPMIはこれほど実施率が低いのか?他社が直面する「3つの壁」
M&Aの成否を分ける最重要プロセスであるPMIですが、なぜこれほどまでに実施率が低いのでしょうか。その背景には、多くの中小企業が直面する、越えがたい「3つの壁」が存在します。
PMIノウハウ不足の壁 「何をすれば良いか分からない」
PMIの重要性は理解していても、多くの経営者がこの壁にぶつかります。中小企業庁の調査でも、PMIを実施しなかった最大の理由として「自社内のノウハウが不足していた」が挙げられています 。


中小企業庁 財務課 中小PMI促進戦略検討会(第1回) 事務局説明資料より引用
それもそのはず、多くの中小企業にとってM&Aは一生に一度か二度の経験です。統計を見ると、M&Aを初めて実施した企業が205社いるのに対し、2回目はその半分以下の93社、3回目となるとさらに42社へと激減します 。つまり、ほとんどの企業はPMIに関する実践的な経験を社内に蓄積する機会がないのです 。



経験がないからノウハウがたまらない。だから「何をすれば良いか分からない」。この悪循環が、PMI実施を阻む最大の壁となっています。


中小企業庁 財務課 中小PMI促進戦略検討会(第1回) 事務局説明資料より引用
専門家不足の壁 「誰に相談すればいいか分からない」
「ノウハウがないなら、専門家に頼めばいい」と考えるのは自然なことです。事実、企業側は「M&A後の統合過程における課題解決の支援」を強く期待しています 。
しかし、ここにも大きな壁があります。M&Aを仲介する専門業者や金融機関の多くは、残念ながらPMIの支援に積極的ではありません。データを見ると、M&A仲介業者のPMI支援率は33.3%、地域金融機関に至っては18.2%や7.3%という低い水準に留まっています 。
これは、多くのM&A仲介会社がM&Aの「成立」をゴールとする成功報酬体系をとっており、時間と手間のかかるPMI支援はビジネスとして「美味しくない」と感じてしまう構造的な問題があるからです。企業は支援を求めているのに、支援できる専門家が圧倒的に不足しているのが現状なのです。


中小企業庁 財務課 中小PMI促進戦略検討会(第1回) 事務局説明資料より引用
経営者の認識の壁 「PMIという言葉すら知らない」
そして最も根深いのが、この壁かもしれません。M&Aを経験した企業の経営者のうち、実に60%が「PMIについて全く知らない」と回答しているのです 。
M&Aで有名なニデック株式会社の永守会長が「M&Aを登山に例えると、成約時点ではまだ二合目」と語るように、M&Aの成功はPMIにかかっています。しかし、その登山の道筋を示す地図(PMI)の存在すら知らなければ、遭難してしまうのは当然と言えるでしょう。
では、どうすればいいのでしょうか?
「戦略的PMI」と「専門家の活用」が唯一の答え
「ノウハウがない」「相談できる専門家もいない」「そもそも認知度が低い」。この三重苦とも言える状況は、一見すると絶望的に思えるかもしれません。
しかし、視点を変えれば、これこそが他社との圧倒的な差別化を図る絶好のチャンスです。M&Aの成功確率を飛躍的に高めるための答えは、以下の2つに集約されます。


PMIを戦略的に実施する、それだけで“勝てる”理由
M&A実施企業の81%がPMIを意識的に行っていないという現状は、裏を返せば、あなたがPMIに真剣に取り組むだけで、M&A巧者として頭一つ抜け出せることを意味します。



M&Aが期待を下回る理由のトップ3は、「相乗効果が得られない」「相手先の組織体制が脆弱だった」「相手先の従業員に不満があった」といった、すべてPMIの領域に属する問題です。
つまり、多くの企業がここでつまずいているのです。あなたがM&Aの目的を明確にし、PMIを戦略的に計画・実行することで、これらの失敗を未然に防ぎ、M&Aの成功確度を劇的に高めることができます。それは、M&A市場における強力な競争優位性となるでしょう。
信頼できるPMIの専門家を味方につける
PMIのノウハウ不足と専門家不足という現実があるからこそ、数少ない「信頼できるPMIの専門家」を早期に味方につけることの価値は計り知れません。
彼らは、M&Aの「成立」ではなく、その先の「成功」にコミットします。多忙な経営者の右腕として、M&Aの目的達成に向けた具体的な統合計画の策定から実行までを一貫してサポートし、「何をすれば良いか分からない」という最大の壁を取り払ってくれます。
特に、M&A成立前からPMIを意識した準備を行う「プレPMI」は極めて重要です。M&Aの目的を関係者間で共有し「腹落ち」させることで、従業員のモチベーション低下や離職を防ぎ、円滑な統合を実現します。利害関係のない第三者として、統合プロセスにおける意見の対立や揉め事を調整する役割も担います。



PMIでは従業員のサポートなど細かいサポートも得られるのですね!



はい、もちろんです。M&A後にキーパーソンが離職して経営破綻するリスクもあるため、PMIでは重要事項として取り組む内容です。
関連記事はこちらを参照ください。


まとめ:M&A成功のラストピースはPMI。他社がやらない今こそ、未来への投資を
M&Aは、契約が成立して終わりではありません。そこからが、会社の未来を創る本当のスタートです。しかし、その成功の鍵であるPMIを、M&A実施企業のわずか19%しか意識的に行っていないのが日本の現状です 。多くの企業が、地図を持たずに険しい山に挑み、道に迷っています。
この状況は、これからM&Aに挑むあなたにとって、最大のチャンスに他なりません。


他社がPMIに手薄な今だからこそ、あなたがPMIを戦略的に実施し、信頼できる専門家を味方につけることで、M&Aの成功率を飛躍的に高めることができるのです。
M&Aは、新たな価値を創造し、事業を未来へと繋ぐための「未来への投資」です。その他大勢が見過ごしているPMIというラストピースを、ぜひあなたの手で掴み取り、M&Aを真の成功へと導いてください。
羽田中小企業診断士事務所では、PMI専門家がお客様のM&Aの目的に深く寄り添い、貴社と相手企業の特性に合わせて、最適なPMI支援をカスタマイズしてご提供いたします。



PMI支援に関するご相談は無料で承っております。M&Aの準備段階やM&A成立後でもご相談可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
羽田中小企業診断士事務所
代表 はださとる(PMI戦略コンサルタント)
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