
今後10年で28万社消滅の危機?M&Aが日本の未来を救う
皆さん、こんにちは!M&Aのシナジー効果を最大化させるPMI(Post Merger Integration)の専門家、中小企業診断士のはださとるです。
羽田中小企業診断士事務所では、PMI支援を通じて「M&Aを成功に導く」ための情報発信をしています。
この記事を読んでわかること
PMI専門家の視点による事業継承の現実と解決策

M&Aがなぜここまで推進されているのか、正直よくわからない



ウチには関係ない話かな…
もし、あなたが今、そう感じているとしたら、この記事をぜひ最後まで読んでください。
今、日本の足元では、私たちの想像をはるかに超えるスピードで、「企業の大廃業時代」が静かに進行しています。これは、単に一部の企業だけの問題ではなく、日本経済全体のサプライチェーンを揺るがしかねない、非常に深刻な危機です。
今回は、この日本の事業承継M&A市場が抱える課題を、具体的なデータとともに整理し、なぜM&Aが国の重要課題として推進されているのか?そして、この状況を救う唯一の手段がM&Aである、という明確な危機感を皆さんにお伝えしたいと思います。


日本の「大事業承継時代」がもたらす想像を絶する危機
日本の経営者の高齢化と後継者不在は、この10年間で28万社を廃業の危機に追い込み、日本のサプライチェーン崩壊のリスクをはらんでいます。
まず、日本の市場環境について、目を背けてはならない現実からお伝えします。
現在、日本の企業経営者の平均年齢は60.5歳に達しており、70代以上の経営者は実に94万社にも上るんです 。これは、多くの企業が「ベテラン経営者」によって支えられている証拠でもありますが、同時に、事業承継問題が目前に迫っていることを意味します。さらに深刻なのが、この70代以上の経営者のうち、約3割にあたる28万社に後継者がいないという事実です 。つまり、このまま何も対策を講じなければ、今後10年間で28万社が廃業してしまう可能性がある、ということになります。


28万社…。この数字がどれほどインパクトのあるものか、想像できますでしょうか? この28万社という数字は、例えば大阪市と名古屋市と福岡市の、主要な3大都市圏にある全ての企業が、まるごと一瞬にして消えてしまうような、想像を絶する規模になります。
もし、あなたの取引先や、あなたの会社が部品を供給している先の企業が、突然後継者不足で廃業してしまったら? それは、あなたの会社の事業にも、間違いなく大きな影響を及ぼすことになるはずです。



このままでは、日本の産業を支えるサプライチェーンの根幹が崩壊しかねない、と国が警鐘を鳴らしているわけなんですね。
過去5年間で21.3万社が「消滅」した現実
既に、過去5年間で日本の中小企業は年間約4万社ペースで減少しています。これは、経営不振ではなく、後継者不足による「黒字廃業」が半数を占めるという衝撃的な現実です。
「そんな大げさな…」と感じる方もいるかもしれません。しかし、これは絵空事ではありません。既に私たちの目の前で、この危機は進行しているんです。
データを見ると、2016年から2021年のわずか5年間で、日本の中小企業はなんと21.3万社も減少しています 。これは、年間平均で約4.2万社が消えている計算になります。
例えば、東京都内の主要な区である世田谷区や練馬区、大田区といったエリアの全企業数に匹敵する、あるいは、地方の県庁所在地クラスの都市の企業が丸ごと消滅するようなインパクトです。


そして、さらに衝撃的な事実があります。 廃業する企業のうち、半数以上(54.9%)が「黒字」であるというデータです。つまり、経営がうまくいっているにもかかわらず、社長の高齢化と後継者が見つからない、という理由だけで、価値ある事業が次々と失われているのです。



これは、経済的に見ても大きな損失です。雇用が失われ、技術やノウハウが散逸し、地域経済の活力が奪われていく。
まさに、日本の国力を蝕む静かなる危機が、ここにあると言えるでしょう。
「誰にも継がせたくない」が本音!?後継者不在を救うM&A
廃業理由の3割が後継者不在。しかしそれ以上に、「継がせたくない」という経営者の心情がM&Aを阻んでいます。この状況を救い、事業を存続させる唯一の手段がM&Aです。
では、なぜ黒字なのに廃業を選んでしまうのでしょうか。その理由をさらに深掘りしてみましょう。
東京商工リサーチの調査によると、廃業理由の約3割(28.4%)が「後継者不在」とされています。これは想像に難くないですよね。しかし、最も多い理由として挙げられているのが、なんと「誰かに継いでもらいたいと思っていない」(45.2%)という回答なんです。


引用:令和6年6月28日中小企業庁「事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について」
これは非常に示唆に富むデータですよね。後継者が見つからないだけでなく、「そもそも継がせようと思っていない」という経営者が半数近くもいるということです。
「もう十分頑張った」「これ以上はしんどい」「会社を売るなんて考えられない」…。そこには、経営者としての燃え尽き症候群や、M&Aに対する根強い抵抗感、あるいは「自分の会社は、自分にしか経営できない」といった、ある種の諦めやプライドが複雑に絡み合っているのだと思います。
しかし、このままでは、地域に根差した素晴らしい技術やサービス、そして従業員の雇用が、後継者不在という理由だけで失われ続けてしまいます。この深刻な状況を救い、価値ある事業を未来へとつなぐ、最も有効で、そして唯一と言える手段が、M&Aによる事業承継なんです。



M&Aは、もはや「会社を売る」というネガティブなものではなく、「会社を未来に託す」「事業を永続させる」ための、ポジティブな選択肢へと変化しているのです。
PMI専門家から見た、M&Aの「今」と「これから」
「今後10年間で28万社が倒産の危機」という現状を理解し、M&Aを単なる取引ではなく、日本経済を救う「戦略」として捉えるべき時です。
これまでのM&Aは、一部の大企業や特定の中小企業が行うもの、あるいはネガティブなイメージを持たれることもありました。しかし、今回のデータが示すように、もはやM&Aは「後継者不足」という差し迫った社会課題を解決し、日本のサプライチェーンを守るための国家的な戦略として位置づけられています。
私たちは、この事実を重く受け止め、M&Aを単なる「会社を売る・買う」という視点だけでなく、「価値ある事業を次世代につなぐ」という大きな視点で捉える必要があります。


そして、そのM&Aを真に成功させるためには、買い手と売り手の間で「目的」や「想い」が異なることを深く理解し、適切な統合プロセス、すなわちPMIが不可欠です。これまで何度も申し上げてきましたが、PMIは戦略です。この戦略なくして、M&Aは絵に描いた餅で終わってしまいます。



今後10年間で28万社が消滅の危機に瀕している日本。この状況を食い止め、活気ある未来を築くために、M&AとPMIの専門家が果たすべき役割は、これまで以上に大きくなっています。
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最後に
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羽田中小企業診断士事務所
代表 はださとる(PMI戦略コンサルタント)
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