
PMIって何?M&A成功の鍵「PMIの中身と重要性」をやさしく解説!
皆さん、こんにちは!はださとる(PMI戦略コンサルタント)です。
羽田中小企業診断士事務所では、PMI支援を通じて「M&Aの成功」を実現するため、情報発信をしています。
今回の記事でわかること
PMIとは何か?その基本概念とM&A後の役割
M&Aにおける「成功」と「成立」の違いとPMIの必要性
PMIで取り組むべき統合範囲(経営・人・業務)の全体像
最近、「M&A」という言葉を耳にする機会が増え、新聞でもよく取り上げられるようになりました。皆さんにとって身近なものになってきたと思います。しかし、その一方で、「PMI」と聞くと、「それって一体何のこと?」「M&Aの成功と具体的にどう関係するの?」と、疑問を感じる方も少なくないのではないでしょうか。

実は、M&Aが成立した後、そのM&Aを成功させるために最も重要なプロセスこそが、このPMIなのです。
今回は、M&AとPMIの関係性を深く掘り下げ、皆さんの疑問を解消していきたいと思います。
PMI(統合プロセス)とは?M&A後に必須の基本知識
PMIはPost Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略で、M&Aが成立した後に、買収した会社(買い手企業)とされた会社(売り手企業)を一つの会社としてスムーズに機能させるための統合プロセスを指します。
驚くかもしれませんが、あるデータによると、M&Aを実施した経営者の60%がPMIの重要性を十分に認識していないという実態もあります。しかし、PMIこそがM&Aを「成功」に導くための要なのです。
PMIに関する参考記事




M&Aの成功と成立の違いとは?PMIでよくある誤解を解説



突然ですが、M&Aの成功と成立の違いとは、なんでしょうか?



え!M&Aの成立がしたら、成功ではないのでしょうか?



実はM&Aの成功は成立することだけではないです。
非常に重要なポイントなので、説明させてください。


まず、M&Aについて皆さんと共有しておきたい大切なポイントがあります。それは、M&Aの「成功」と「成立」は全く異なるということです。M&Aが単に成立しただけでは、それは成功ではありません。これは当たり前のようでいて、実際には見落とされがちな非常に重要な点です。
では、M&Aの「成功」とは一体何でしょうか?それは、シンプルに言えば「M&Aの目的を実現させること」です。当然のことながら、M&Aが成立しても、その後に買い手企業と売り手企業がうまく統合できなければ、当初設定したM&Aの目的が達成されることはありません。
例えば、M&A成立後に売り手企業の従業員が大量に離職してしまうようなケースは少なくありません。そうなってしまえば、買い手企業としては、何のために多大な時間とコストをかけてM&Aを実施したのか分からなくなってしまいます。
M&Aは3フェーズ構成!PMIの役割はM&Aの目的達成にあり



M&Aを構造化してPMIの役割を見てみましょう。
M&Aのプロセスは、大きく3つのフェーズで構成されています。


*中小企業庁 中小PMIガイドライン(12ページ)より引用
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/pmi_guideline.pdf
1. 戦略フェーズ:M&Aの「目的を明確化」する出発点
まず、「何のためにM&Aを実施するのか?」というM&Aの目的を明確にするフェーズです。これは、M&Aにおける最初の、そして重要な出発点となります。
2. 取引フェーズ:M&Aの目的の「実現可能性を検証」する
次に、明確になったM&Aの目的が、「本当に実現可能か」を検証するフェーズです。売り手企業との直接交渉や、企業調査(デューデリジェンス:DD)などを通じて、その目的の実現可能性を詳細に検証します。
3. PMIフェーズ:M&Aの目的を「実現させる」最終段階
そして、M&Aが成立した後に行われるのが、このPMIフェーズです。まさに「M&Aの目的を実現させる」ための最終段階と言えます。戦略フェーズで策定したM&Aの目的を、このPMIフェーズで具体的な形にしていくことになります。
そのため、中小企業庁が公表している中小PMIガイドラインでも、PMIの重要性について、”PMIの取組を成功させることは、M&Aの当初の期待を満たし、M&Aそのものを「成功」とし得るかどうかに大きく影響する。”と結論付けています。



M&Aの構造とPMIの関係性は理解できました。
PMIフェーズがないとM&Aの目的を実現できませんね…
ただ具体的に何をしたらいいのでしょうか…?



PMIこそ、M&Aを真に成功させるための不可欠なプロセスなのです。
それでは具体的に取り組むべき内容について説明いたします。
PMIで実施する具体的な統合範囲・統合内容とは?
では、具体的にPMIではどのような取り組みを行うのでしょうか?中小企業庁のPMIガイドラインを基に、M&A成立後100日~1年かけて、買い手企業と売り手企業が一体となって取り組むべき3つの主要領域をご紹介します。


*中小企業庁 中小PMIガイドライン(39ページ)より引用
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/pmi_guideline.pdf
1. 経営統合:向かう方向性を確立する
目的: M&A後の新しい会社のビジョンやミッション、経営方針を明確にし、具体的な経営体制を確立することです。特に、旧経営者の退任によって失われがちな「会社のコア(核)」を再構築する視点が重要になります。
このフェーズを怠ると、経営の方向性が見失われ全社一丸となったシナジー効果を創出する経営が難しくなります。
2. 信頼関係の構築:強みを発揮できる環境を整える
目的: 売り手企業の社員が抱く不安を解消し、安心感を醸成することで、彼らが持つ能力や強みを最大限に発揮できる土壌を築き上げることです。
このフェーズを怠ると、従業員の離職や取引先との関係性が失われてしまいます。
3. 業務統合:事業の円滑な引き継ぎ
目的: M&Aによって生じる業務上の「変化」にスムーズに対応し、日々の業務を円滑に引き継ぎ、事業の継続性を確保することです。
このフェーズを怠ると、社内での業務効率が落ちてしまい、コストアップ要因となるため、競争力が疎外されてしまいます。
M&Aを成功させる第一歩は?目的の言語化がカギ



M&Aの目的を言語化し共通認識しておく必要があるんですね。
当たり前のようで出来ていなかったかも…



M&Aの目的が明確でなければ、最後のPMIフェーズで「何をすればいいか分からない」という状況に陥ってしまいかねません。
結果的に、M&Aが成功したかどうかすら定義できなくなってしまうのです。
だからこそ、「何のためにそのM&Aを実施するのか?」というM&Aの目的を明確にすることが、M&Aを始める上での最初の、そして最も重要なスタート地点になります。目的が不明確なM&Aは、成功への羅針盤を持たない航海と同じです。
まとめ:PMIはM&A成功の鍵!統合フェーズで目的を実現するために
いかがでしたでしょうか? M&Aの「成立」は出発点に過ぎず、真の「成功」は、そのM&Aの目的が達成されて初めて実現します。そして、この目的達成の成否を決定づけるのが、M&A成立後の統合プロセスである「PMI」なのです。
戦略フェーズで明確にしたM&Aの目的が、取引フェーズでの検証を経て、このPMIフェーズでようやく具体的な形となり、具現化されます。特に、中小企業においては、大切な従業員の離職を防ぎ、両社の強みを最大限に活かすためにも、「経営統合」「信頼関係の構築」「業務統合」という3つの領域で、戦略的なPMIが不可欠です。
M&Aは、単なる企業の売買行為ではありません。それは、新たな価値(シナジー)を創造し、事業を未来へと繋ぎ、持続的な成長を目指すための「未来への投資」です。そして、その貴重な投資を成功へと導くためには、PMIの重要性を深く理解し、計画的に、そして何よりも丁寧に取り組むことが不可欠です。
もし今、M&Aをご検討されている中小企業の経営者の皆様がいらっしゃいましたら、ぜひ「何のためにM&Aを行うのか」という目的を明確にすることから始めてみてください。その目的が明確であればあるほど、その後のPMIもスムーズに進み、M&Aの真の成功へと繋がるでしょう。
M&Aの成功は、PMIにかかっています。
羽田中小企業診断士事務所では、PMI専門家がお客様のM&Aの目的に深く寄り添い、貴社と相手企業の特性に合わせて、最適なPMI支援をカスタマイズしてご提供いたします。



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