
「M&Aは買ってからが本番」専門家として対談で語ったPMIの重要性と挑戦
こんにちは!羽田中小企業診断士事務所のはださとる(PMI戦略コンサルタント)です。
羽田中小企業診断士事務所では、PMI支援を通じて「M&Aの成功」を実現するため、情報発信をしています。
先日、当社のPMI支援について取材を受けました。
その内容をもとに、当社の取組みである「M&Aの成功を実現させるPMIとは何か」についてご紹介します。
今回の記事でわかること
M&A後に必要な「PMI(統合プロセス)」とは?
PMIが失敗するとどうなる?中小企業が陥りやすい課題とは?
なぜ今PMIが注目されているのか?2025年以降の中小企業M&Aと支援の現場
羽田中小企業診断士事務所が考える「PMI専門家の役割と挑戦」について

M&Aと聞いてどんなイメージが浮かびますか?



「会社の売買契約」「会社を大きくするための契約」のイメージですね!



それではPMIはいかがでしょうか?



PMI…? 初めて聞きます…



PMIとは「PMI(Post-Merger Integration)」と呼ばれる統合領域で私が専門分野になります。
M&Aは、契約が成立して終わりではありません。むしろ、そこからが本当のスタートです。
M&Aの「その後」を支える「PMI(統合プロセス)」とは?
PMI(Post Merger Integration)とは、M&A成立後に買い手と売り手が、実務的にも文化的にもひとつの企業になるまでの統合プロセスです。



想像してみてください。今まで別々に経営されてきた2つの会社が、ある日突然1つの会社になる。



各企業で仕事のやり方・考え方は異なるだろうから、
考えただけでも、色々な問題が浮かんできますね…
例えば、企業文化の違い、業務プロセスの統一、そして何よりも「人」の問題。売り手企業の従業員の皆さんが新しい環境に馴染めるのか、モチベーションを維持できるのか。M&Aの成功は、このPMIがどれだけスムーズに進むかにかかっているのです 。
なぜPMIが重要なのか?
M&Aは、あくまでその目的を達成するための手段(戦略)です。2つの会社が1つになることで、何か新しいこと、今までできなかったことを実現しようとしますよね。でも、せっかくM&Aが成立しても、その後の統合がうまくいかなければ、M&A自体が失敗に終わってしまいます。



実際、中小企業庁の調査によると、M&Aの約24%が統合段階で期待を下回る結果に終わっているという報告もあります*。



そんなに多いのですか?!せっかくM&Aを成立させたのに…


*引用:中小PMIガイドライン12ページ
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/pmi_guideline.pdf
特に中小企業の場合、M&Aの経験がある経営者は多くありません。初めてのM&Aで、PMIについて「何から手をつけていいか分からない」というケースがほとんどです 。そんな時に、私たちPMIコンサルタントが間に入り、統合プロセスをサポートしていくことになります。
私は、M&Aにおいて「売る方も大変だけど、買った後がもっと大変」だと常々感じています 。売却側の経営者は一区切りを迎えますよね。でも、買った方の経営者は「じゃあ、これから売り手のリソースをどうやって活用していこうか」と考え、実行していかなければいけません 。マニュアルを渡しても、最初は「何したらいいか分からない」となるのが普通です 。まさにそこを、いかにうまくやっていくか。それがPMIの腕の見せ所です。この買った後のフェーズをいかにうまく進めていくかが、M&Aが成功するかどうかを左右します。



私が好きな言葉として「M&Aはご縁、PMIは戦略」です。
しっかりとM&Aの目的を定めてそれを達成できるよう戦略として組み上げていくことが大切なことになります。
M&Aの件数は倍増している
近年、M&Aの件数はものすごい勢いで増えています。10年前から比較すると倍増して年間で4000件以上*成立しています。その背景には、深刻な後継者不足があります。70代、80代の経営者の方々が、「もう続けられない」と会社をたたむか、誰かに引き継ぐかの選択を迫られています。特に地方に行くと、その傾向は顕著です。息子さんや娘さんが都会に出て行って、事業を継ぐ人がいない。廃業すれば1円も入ってこないどころか、廃業には当然費用がかかります 。それならば、とM&Aを選ぶケースが非常に増えている状況です 。



私がこれまで見てきた中でも、「安くてもいいから、とにかく早く売りたい」という高齢の経営者の方が多くいらっしゃいます。
持病もあり経営を続けられない、という方もいます。
そういった方々にとって、M&Aは事業と従業員を守るための、そしてご自身の人生の区切りをつけるための重要な選択肢なのです。


*引用:中小企業庁ホームページ 2021年度版中小企業白書https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_3_2.html
PMI専門家は「調整役」としての役割も担う
M&A後の統合プロセスでは、売り手と買い手が一つの会社になります。当然、意見の対立も生まれますし、揉めることは日常茶飯事です。会社の規模にもよりますが、何十人という従業員が動くわけですから、全員がハッピーなんてことはあり得ません 。そこで、私たちPMIコンサルタントは「第三者」として介入します 。利害関係のない立場の専門家が、両社の間に立ち、調整役として機能することで、M&Aの統合をスムーズに進めることができるようになります。
例えば、従業員の引き継ぎ問題。M&Aで会社を売却しても、従業員が残ってくれるとは限りませんよね。従業員には職業選択の自由がありますから、会社を売却後に「やっぱり来なかった」というケースも少なくないです 。買い手側としては、キーパーソンの従業員がいなくなってしまっては困りますよね。そういった問題を最小限に抑え、どうすれば従業員に新しい会社に馴染んでもらえるか、スムーズに立ち上げができるか 。そこをサポートするのが、私たちの役割です 。



私の会社ではM&A後に揉めてしまい…キーパーソンが退職するという事態になり、とても焦りました。
PMI担当者の方に介入してもらって話し合うことができ、なんとか和解ができました。



経営者側の意図と従業員の気持ちの両方を理解している私たちだからこそ、PMI専門家は「調整役」の役割として適任だと考えます。
ギクシャクしないように、まさに「スムーズに」統合が進むように、M&A成立後を伴走するイメージです。
なぜPMIはまだ認知度が低いのか?
M&Aは、取引金額も大きいですし、聞いたことがないという経営者はほとんどいないかと思います。でも、PMIは残念ながら、まだまだ世の中で認知されていません。
M&Aを実施した経営者の中で6割が 「PMIについて全く知らなかった」 と回答した調査結果もあります。本当はそこがもっとも重要な統合プロセスですが、その大切さが市場で認知されず、見過ごされているという課題があります。


*引用:令和6年2月20日 中小企業庁 財務課 中小PMI促進戦略検討会(第1回) 事務局説明資料より引用https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/pmi_sokushin/001/003.pdf



しかし、M&Aの増加に伴い、M&Aの失敗も増えている今だからこそ、PMIの重要性が中小企業庁や金融庁からも声が上がり始めています。



私もPMIは知らなかったですが、
本コラムを通じて、M&Aの成立だけでなくPMIの取り組む重要性を理解したので、自分の会社でも取り入れたいと思いました。



とてもいいと思います!
M&Aは「買って終わり」ではなく、「買ってからが本番」です。
私は、このPMIの認知度を広げ、M&Aを成功させたい買い手企業側の経営者の皆さまに、PMIコンサルタントの存在と役割を知ってもらいたいと考えています 。
PMIの認知度向上のための挑戦
私はこれまでは、金融機関やM&A仲介会社との連携に力を入れてきました 。もちろん、そこから案件をいただくこともありますが、特にM&A仲介会社との連携は難しいと感じることが多かったです。
だからこそ、私は今、直接事業者の方々と繋がり、PMIの重要性を周知していきたいと考えています 。実績は出てきているので、あとは「どうやって周知されるか、どうやって認知されるか」が最大の課題だと思っています 。
そのために、SNSの活用を考えています。例えば、noteの記事は、読者が自ら検索して見に来てくれるため、すでにそのワードに強い興味関心を持っている方々が中心の層だと思っています。そういった方々に、私のこれまでの経験やPMIへの想いを伝えることで、共感を持っていただき、信頼関係を築いていきたいと思っています。またXで自ら発信することで、より多くの経営者の皆様にPMIの認知度を高めていくことも考えています。



まだまだ始めたばかりですが、これから徐々に伸ばしていければと思っています。応援よろしくお願いします!
X:https://x.com/PMI_31K
note:https://note.com/pmi_31k
M&Aの「当たり前」を変えるために
M&Aは、単なる会社の売買ではありません。売り手と買い手、それぞれの人生や事業の未来を左右する、非常に大きな決断です。だからこそ、その後の統合プロセスがスムーズに進むよう、専門家が伴走することの価値は計り知れません。
私は、PMIがM&Aにおける「当たり前」になるよう、これからも尽力していきます。M&Aが増えている今だからこそ、その裏で増えている失敗を減らし、全てのM&Aが成功に終わるよう、微力ながらも貢献していきたい。それが、当社の変わらぬ想いです。



もし、M&A後の統合でお困りの方、あるいはこれからM&Aを検討しているけれど、「その後」に不安を感じている方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。
貴社のM&Aを成功に導くため、全力でサポートさせていただきます。
羽田中小企業診断士事務所
代表 はださとる(PMI戦略コンサルタント)
\SNSでもPMIに関する情報発信しています。応援よろしくお願いします。/
X:https://x.com/PMI_31K
note:https://note.com/pmi_31k